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2010-01.02 Sat現代パラレル小説/1[キャシャーンSins]

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『いらっしゃいませー』



人通りの少ない路地裏のコンビニに、お世辞にも真面目そうとは言えない風貌の店員がいた。
剃り残しのある無精ヒゲに、ギョロリとした三白眼、精一杯の営業スマイルなのか、口元はいつもニヤニヤとしている。
店員用の制服を着ていなければ、ヤのつく職業の人ではないかと思ってしまう顔つきだ。
そんな風貌とは裏腹に、彼は週5日、1日8時間、夕方から夜間までせっせと真面目に働くフリーターだ。

(今日も客少ねーなあ・・・良い事だ)

客が1人2人、雑誌を立ち読みしている位のガランとした店内で、その男、アコーズは
今日は売れ残った弁当はどれを持って帰ろうかな、とかそんな事を考えて時間を潰していた。


ピンポーン
『いらっしゃいませー』


ドアが開くと同時に鳴るチャイム音に、条件反射で常套句を口にする。
良くも悪くも職業病って奴だ。

『(お、あいつ・・・)』

入ってきたのは、16,7くらいの、まだおぼこい雰囲気があるが顔の綺麗な少年だった。
丸みを帯びた輪郭に、くりっとした蒼い大きな目と小さい鼻と口がのっている。
週に2,3度ふらっとやってきて、1箱に10粒程度入っているだろう、税込みでも100円もしない飴だけを
いつも買っていくもんだから、自然と俺はその少年を覚えてしまった。

『(飴好きなんかなあ・・・)』

のろのろと歩く姿を何となく目で追ってみる。
その少年が初めてこの店に来た時は、それがあまりにも不自然に見えたので
始めは万引きでもするのではと気をはっていたものだ。



少年はいつも通り飴のあるコーナーで立ち止まってしげしげと眺めている。
決まったのかひとつを手に取り、のろのろとした足取りでこっちにやってきた。


『すいません、これ・・・』
『84円になります~』

いつも通りの対応をする。


少年は上着のポケットに手を突っ込み、小銭を漁っていた。
(いつもそうだから多分財布は持っていないんだろう)
これもいつも通り。


少年は俺より一回り程小さく白い手で小銭を無言で数えていたが、でもそんな時 『あ』 なんて、
いつもと違う反応をするもんだから、つい俺も 『あ?』 なんてまぬけな声を出してしまった。



『・・・あの、すいません・・・やっぱり、良いです・・・・・・。』
『どうし・・・、・・・、どうかしましたか?』

いつもと違う展開に、つい地の口調が出たのを慌てて言い直した。

『・・・・・・その・・・、1円・・・足りなくて・・・』
『・・・・・・・・・』


少年が広げた手のひらには、50円玉1枚と10円玉3枚、1円玉3枚が乗っていた。
確かに84円には1円足りないようだった。


『あー・・・そうですね』
『・・・・・・すいません』


なんだかなあ、と やたらこの目の前の少年が本当に申し訳無さそうな顔をしているので、
つい俺もズボンのポケットに手を突っ込んで小銭を漁ってしまった。

『サービスな』

そう小声で言って少年の前に1円を置いてやった。


『え・・・?』
『買わないのか?』
『あ、買います・・・』
『84円になります~』
『は、はい・・・』
『丁度頂きます。テープで宜しいですか?』
『はい・・・。・・・あの』
『はい?』
『ありがとう・・・ございます』

普段無表情の少年が少し微笑んでいたので、ちょっと吃驚しつつ、
ちょっと胸の奥がこそばゆくなりつつ、いつもの常套句で少年を送った。



『ありがとうございました~』 





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