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2010-01.02 Sat現代パラレル小説/2[キャシャーンSins]

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『さびい・・・』


一日なんてとうに終って現在夜中の1時過ぎ。
やっと仕事が終って店を出た途端、冬の寒さに身体が震えた。

『ありえねー・・・寒い・・・これは寒い・・・さぶい・・・寒い・・・・・・』

寒さを紛らわす為にぶつぶつ呟いてみるも、喋る度に口から出る白い息に改めて寒さを実感して余計に凍える。
なんかもうほんと寒い。寒いったら寒い。寒い。・・・駄目だ、とっとと帰ろう・・・。


歩く速度をややあげて家路に向かうとした時、ふと暖かい飲み物が恋しくなった。

『(家に帰っても、あったけー飲み物なんてお湯ぐらいしかねーしなあ・・・)』


それは味気ないよなあ・・・と思い、少し遠回りになるが、すぐそこの公園の先に自販機があったのを思い出し、
今度こそ早足で向かった。




昼の賑やかな雰囲気とは打って変わって、夜の公園ってのはなんだか不気味だ。
申し訳程度にある電灯がさらにそれを引き立てている。
別に幽霊だとかそういう類のものを信じているわけじゃないが、自然と脚も早くなる。

『(とっととつっきろう・・・)』

そんな時、ふと公園のベンチに小さくうずくまるように寝ている人影が目に入った。

『(ホームレスか?このクソ寒いのにご苦労なこった)』

まあ俺には関係ないしな、と早々にベンチの横を通り過ぎようとした瞬間、ふと妙な感覚を覚えた。


『(ん・・・?あれ・・・、いや・・・、待てよ・・・・・・)』


頭のどこかで止めとけって声が聞こえたような気がしたが、何故だか無性にその寝ている奴が気になってしまい、
好奇心に勝てずそいつを起こさないようにと恐る恐る近寄ってみた。

『・・・あ?』

丸みを帯びた輪郭に、小さな鼻と口、閉ざされて分からないが、長い睫毛の下には蒼い瞳があるんだろう。
暗がりでよく見えないが、そこに寝ていたのは確かにいつぞやの飴の少年だった。



『(・・・・・・なんでこいつこんなとこで寝てんだ・・・?)』

まさか家出か?とか思いつつ、一応何度か喋った相手だし、
こんな寒空の下にほっとく訳にも行かず起こしてみる事にした。


『おい、お前、起きろ』
『・・・う・・・ん・・・・・・』

声をかけながら少年の身体をゆすると、少年は少し身じろいだ。
身体に触れた手越しに、少年は長い間ここにいたようで、ひいやりとした感覚が伝わってきた。

『おい、こんな所で寝てたら風邪を引くぞ、起きろ』
『・・・え・・・、あ・・・?』

やっと目が覚めたのか、少年は寝ぼけ眼を冷え切った手で擦り、それから2,3度瞬きし、
ぼんやりとした目つきで俺をみた。


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、おまわりさんですか?』
『ちげーよ!!!』


あまりにもボケた台詞に、思わず大声で突っ込んだ。
その声にやっと少年は覚醒したのか、漸く俺がコンビニの店員だというのに気が付いた。



『あ・・・、コンビニの・・・。以前は有難う御座いました』
『いや、うん、それはまあ、置いといて、だ!なんでこんな時間にこんな所で寝てるんだ』
『・・・眠かったから、寝てました・・・・・・』
『あー・・・、俺が聞きたいのはそう言う事じゃあなくてだな・・・・・・』



まだ寝ぼけているのかなんだか知らないが、こいつなんかちょっとずれてる気がする・・・。
礼儀正しいのは良い事だが・・・。何だか頭が痛くなってきた。



『お前、家は?』
『・・・ありません』
『家出か?』
『・・・・・・違います』
『親御さん心配してんじゃねーのか』
『・・・・・・両親は・・・いません』
『・・・あー・・・・・・』

言葉に詰った。何だか訳ありのようだがよくわからない。やっぱり構うんじゃなかったか・・・。
今更ながら俺は後悔した。



『おいお前、そこで待ってろ!』
『・・・?』





『あったかい・・・』
『そりゃ良かった・・・』


当初の予定通り、自販機で飲み物を買ってきた。少年の分はついでに買ってきてやった。
好みが分からないので無難にお茶かな、と思ったが、
何となくミルクティーが好きそうな顔だと思ったのでそれを買ってきた。


『久しぶりに味の付いた飲み物を飲みました・・・有難う御座います』
『へー・・・。・・・。・・・いやなんだそれ、どういうこった』
『ここ最近公園の水しか飲んでなくて・・・』

俺は遥か彼方をみつつ、買ってきたコーヒーを一口飲んだ。
それから公園の前の道路に犬と散歩してる人影が見えたので
こんな時間に散歩なんて、犬飼ってる奴は大変だな、俺は一生飼わねぇと思った。


『・・・・・・・・・なあ、まさかとは思うが、お前この公園に住んでるのか?』
『あー・・・そうですね、最近はここで寝泊りしてます』

そう言って少年は、頬と鼻をほんのりと赤くしながらミルクティーをすすった。
俺もまたコーヒーをすすった。缶も大分ぬるくなってきた。

『・・・もう一杯飲むか?』
『あ・・・いや、僕はもう良いです』
『そっか。俺はもうひとつ買ってくるわ・・・』



ズズーー・・・あー、コーヒーあったけー



『・・・で、何で公園で寝泊りしてんの?』
『それは・・・その・・・、・・・家賃払えなくなってしまって・・・。』
『バイトとかしてないのか?』
『してたんですけど・・・、いつも僕長続きしなくて・・・。なんか僕は、人間関係とか、そういうのが上手くない・・・みたいで・・・』
『まあー・・・そうだろうな・・・』
『・・・・・・・・・』
『あっ、悪ぃ・・・、気ィ悪くしたんなら謝るよ。両親・・・はいないんだっけか、恋人は?お前そんなに顔が良いんだ、恋人くらいいんだろ。泊めて貰えば良いのによ』
『・・・いません』
『ヘェ!?まじか!』
『・・・そういうのは、あまり、興味が無くて・・・』
『ふうん・・・。お前みたいなのでも恋人がいないなんて、世も末だねぇ~』
『・・・貴方はいるんですか?』
『俺か?俺ぁ~いねーよ。自分で言うのもなんだがモテる顔してねーしな。たまに風俗のおねーちゃんに手出すくらいさ』
『そうですか・・・・・・』



こんな寒空の下、普段ならもうあったかい布団と宜しくやってるだろうな丑三つ時に
俺は一体何をやってるんだろうと思いつつ、その無口な少年相手に俺は喋り続けた。
少年は聞かれた事を一言二言淡々と答えるだけだったが、
それが何だか無性に、例えるならそう、ロボットのようで逆に面白いと感じるようになっていた。


『ああ、そうだ、敬語とか別にいいからよ。なんだかむず痒い』
『・・・わかった』
『そうそ、そんな感じで頼むわ。あーそいや自己紹介がまだだったな、俺はアコーズってんだ。お前は?』


そう聞くと少年は 少し驚いたように大きな目を更に大きくさせて、2度瞬きした。
視線を下にしたりちらちら動かしてから漸く『・・・キャシャーンだ』と呟いた。





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